振り込め詐欺等の特殊詐欺による被害に遭った場合の被害金回収の方法としては、大きく以下の3つの方法が考えられます。それぞれメリット・デメリットがありますが、主に用いられる手法は、1.の振り込め詐欺救済法による返金手続や、2.の被害回復給付金支給制度です。

1.振り込め詐欺救済法による返金手続

振り込め詐欺救済法による返金手続とは、振込先口座として指定され振込をした口座を凍結し利用不能にした上で、その口座内のお金を返金申請被害者達に分配する手続をいいます。

返金手続の申請手順としては、

①金融機関への口座凍結要請の書類提出
 振込先口座のある金融機関へ「振り込め詐欺等不正請求口座情報提供及び要請書」という書類を提出します。被害者の方が直接対応する事も出来ますが、弁護士による通報の方が速やかに対応して頂けます。その際の必要書類は金融機関により異なりますが、概ね、詐欺の証拠書類と委任状、本人の身分確認書類等が必要となります。
②警察への被害届の提出
 金融機関への口座凍結要請を行うに際して、被害届を出しているか確認される場合が多いです。そのため、①と同時並行的に被害届提出の手続を行います。
③権利消滅の公告
 預金保険機構のHPで口座名義人に対し、権利行使の届出を求める公告が実施されます。届出期間は概ね2ヶ月程で、その間に口座名義人から権利行使の届出があれば、手続は終了します。
④資金分配の公告・分配金の支払い
 権利消滅の公告期間内に権利行使の届出がない場合、口座名義人の預金債権が消滅し、預金保険機構のHPで、被害回復分配金支払申請を受け付ける公告が実施されます。
 その際の支払申請受付期間も概ね2ヶ月間で、その期間内に返金手続をすると、対象口座内にあるお金を被害金額に応じて按分し、被害者達に振込をする手続が開始されます。もっとも、対象口座の残高が1,000円未満の場合には、分配するだけのお金がないとして手続が終了します。

2.被害回復給付金支給制度

 組織犯罪処罰法により、犯罪被害財産について、その犯罪が組織的に行われた場合やいわゆるマネー・ロンダリングが行われた場合には、刑事裁判により犯人から財産の没収等を行う事ができます。そして、没収した財産を金銭化して、事件の被害者の方々に給付金として支給する制度を「被害回復給付金支給制度」といいます。
 被害にあったケースがこちらの手続の対象となっているかどうかは、検察庁のHPから確認する事が出来ます。もっとも、本手続が適用されるには、加害者が詐欺等による刑事裁判により有罪判決が確定している必要がありますので注意が必要です。

3.加害者に対する損害賠償請求訴訟・集団訴訟

 詐欺被害の場合、刑事裁判手続による損害賠償命令制度が利用出来ないため、訴訟を行う場合には、被害者の方が直接民事裁判を起こすしかありません。
 実際に裁判を起こすには相手の氏名と住所が必要となりますが、これらの情報がない場合、手続に苦労する事となります(最終的には、公示送達という方法もあります。)。また、実際に裁判を起こすにあたっては、相手が財産を隠さないように、振込先口座についての預金債権の仮差押えをするべきですが、この際にも相手の氏名と住所が必要となります。そして、手続に時間がかかっていると、加害者に被害財産を引き出されてしまい、被害金の回収が困難となる危険性もあります。
 したがって、手続の煩雑性・被害金の回収可能性という観点からは、直接の民事裁判ではなく、既に被害金の回収制度として存在している1.の振り込め詐欺救済法による手続や2.の被害回復給付金支給制度を利用した方が良い場合が多いと考えます。

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